2007/06/04

チーフタンズ

先日、bunkamuraオーチャードホールにおいて、チーフタンズのライブを見た。

チーフタンズは結成45年(!)というメチャメチャに息の長い、アイルランドのまさに国宝級バンド。
9度目の来日になるという今回まで、なぜだかずっと機会を逃していて、そのライブを見る事ができないでいた。
でもついに!やっと念願がかなって、その演奏をナマで聴くことができたのだ。
くーーーーっ!じつに感激である。

僕が、チーフタンズの音楽に初めて触れたのは、もう30年以上も前のことになるだろうか。
スタンリー・キューブリックの映画「バリー・リンドン」に流れる「アイルランドの女」の甘く切ないメロディーに強烈に魅かれたのが、最初の邂逅だった。
早速サウンドトラック(ちなみに、この映画音楽はその年のアカデミーを受賞した)を買い求め、
聴き続け、以来そのメロディーはずっと僕の頭の片隅に住みついていく事になる。
ところがその当時、アイルランド音楽やケルトミュージックに関する情報は、ほとんど全くという程得ることが出来なかった。
そんな訳で、僕がチーフタンズの存在や、それがアイリッシュ・トラッドと呼ばれる音楽だと知るようになるのは、その一年後、コアな音楽ファンのたまり場であり情報発信地でもあった輸入レコード専門店でアルバイトを始めてからの事だった。1976年のことだ。

たしか当時の情報では明確にアイリッシュ音楽というモノは独立しておらず、アメリカン・フォーク・ミュージックに対して、そのルーツとなる英国系伝統音楽としてひとつにまとめられ、総称して「トラッド」と呼ばれていたように思う。
伝統音楽をふまえつつも、エレクトリック楽器を使いロック寄りな表現をしていたフェアポート・コンベンションや、ジャズ系のペンタングルなんかも、このくくりの中に一緒にされていたと記憶している。
ま、そんな「トラッド」シーンの中で、チーフタンズこそが王道であり、主役であった。

さて、そんな感じでアイリッシュ・トラッドと出合った僕だが、チーフタンズ以外のミュージシャンもマメに聴きこんで、すっかりケルトマニアになってしまいましたとさ、、、といった感じで、このジャンルの音楽にのめり込んでいった訳でもない。
それどころか、その頃以後の、僕の音楽嗜好の変遷は、まさしく転がる石のごとくである。

ちなみに、その転がる石の軌跡をアバウトに追ってみると、、、。
バイト先のレコード店では、当初プログレ担当だった僕は、すぐにパンクにガツンとやられ、テクノに没頭し、スカに小躍りしながら、漫画家やイラストレータとしてのキャリアをスタートさせることになる
(今思うとかなりハズカシイが、テクノな漫画家など呼ばれた、きゃっ!)。
以後、パワーポップ、ニューロマンチック、エスノ、ダブ&レゲエ、ラップにスクラッチにヒップホップ、
サイケにファンクにトランス、ハウス、アンビエント、、、等などなどブラーブラーブラー。
じつに様々な形容詞とジャンル名(?)を冠されて、現れては消えていった様々なスタイルの音楽に、僕は次々に熱中していった訳である。

閑話休題、ライブの話に戻すと、、、。

始まるや否や、僕はもう感激のあまり泣きそうになってしまった。
「おお、チ、チーフタンズが目の前で動いてるううう、ありがたやありがたやああ、、、」状態。
その感激は早くも、前半中ほどでピークを迎えた。
パディ・モローニが奏でるホイッスルによって「アイルランドの女」が演奏されたのだ。
うーーーん、30数年ものあいだ、熱い思いを抱きつ続けてきたあの音楽が、まさしく今目の前で演奏されているうぅ。くわあぁぁー、たまらーん。

改めて思う。 僕が様々な音楽を追い続け、あてもなくさまよっていた「なん十年」ものその間、、、、
その間チーフタンズは、ずっとチーフタンズだった。
彼らは、彼らの音楽をずっとひたむきに続けていたのだった。
当たり前のコトかもしれないが(当たり前かな?)その事自体が、ものすごく得がたいことと痛切に思う。
ああ、ほんとにチーフタンズがいてくれて良かったなあ、、、、しみじみ、、、。
まさしく、そんな感謝の念で胸をいっぱいにさせられたコンサートであった。