2015/01/12

Another Green World


本年最初の新作を一点。
タイトルは「Another Green World Ⅱ」とした。

昨年末「赤い芍薬」を描いているうちに現れた
植物からほとばしる精気のようなイメージ…
これをもっと描きたくなって、
以前描いていた「Another Green World」という作品を再構成、
描き直してみた。

ちなみにタイトル「Another Green World」は
ご存知アンビエントの巨匠ブライアン・イーノのアルバムタイトルから拝借した。


1975年(今から40年前!?)に発表されたこのアルバムは、
それまで2枚のソロアルバムとは異なり、
イーノ独特の屈折したものではあるけれど所謂ポップ・ミュージックから、
今日のイーノの代名詞とも言えるアンビエント・ミュージック、
その片鱗が初めてその姿をみせたエポックな作品として知られている。

同年、自身のレーベル、オブスキュアから発表された
初のアンビエントアルバム「Discreet Music」で
それは決定的なものになるんだけど、
言ってみれば、後のイーノ作品に繋がる分水流となったような作品だ。

その後のアンビエント作品はもちろんだけど、
ポップ、ロックとアンビエント、実験音楽を
行きつ戻りつつしているこのアルバムが僕は割りと好きで、
時折、タイトル曲「Another Green World」や
「Sombre Reptiles」が無性に聴きたくなる。

それもあって、怪しい植物世界のイメージが頭の中に生まれた時
この「Another Green World」というタイトルがすんなりと浮かび、
それを拝借することにしたのだった。


こんな感じの連作を描いてみたいな…、
と、思う。
出来上がった作品を並べると
架空の植物園みたいになれば面白いのだけど。

2015/01/08

「冬来たりなば春遠からじ」


本日じつに天晴な晴天。
風はぴーぷー冷たいけれど、しばし庭に出てみる。

見ると我が家の庭では毎年一番乗りの蝋梅が、はや咲き始めている。

となりの椿やレンギョウも、小さい蕾がギッシリで
フライング気味にもう咲いてるお調子者もいる。
そのとなりの木蓮は、猫柳のような和毛(にこげ)をつけた花蕾の枝を
真っ青な空に向かって力強く広げている。

あらためて見回すと、庭中の枝木のそこかしこに、
小さな蕾たちがいっぱいだ。

ふと頭の中にあるフレーズが舞い降りる。
まさに「冬来たりなば春遠からじ」って、こういう事なんだろうなあ。

昔の人は良いこと言うなあ……
やはり四季の折々を感じる日本人ならではの感性か……
きっと、
昔のあるとき、茶人みたいな爺ちゃんが
今日のうちの庭みたいな風景を見ながら目を細め
ぼそりと呟いた一言なのではなかろうか……


とここまで思って、ちと気になって調べてみると
これがおおいなる勘違いだった。

「冬来たりなば春遠からじ」とは
イギリスの詩人、シェリーの「西風に寄せる歌」の一節
「If winter comes, can spring be far behind?」がその由来で、
厳しい寒さの冬を過ぎれば、その後には暖かい春がやってくるぞ、
辛いことばっかりじゃない!明けない夜はない!
もうちょっとだ、がんばれ! みたいな、ことわざ的言い回しであった。

へえー、そうなんですか。
ちっとも知らなかった。勉強になりました。
でも、きっと…
毎年、この風景を見るたびに、
ついついこのフレーズを呟いちゃうんだろうな…、きっと。

2015/01/05

門松を作る

うつらうつらしている間に、はや三が日も過ぎてしまった。
世間的には休みも終わり、本日より平常営業という所も多いとは思うのだけど
なんとか駆け込みでお正月な話題をひとつ。

年末に度々ブログやFacebookで「芍薬の絵を描く」様子をアップさせてもらったが、
実はそれと並行して、もうひとつ進行していた一大プロジェクトがある。
それこそ、なんと「自作門松プロジェクト」であった。
つーとかなり大げさなんだけど、要はあれです、
「自分ちに飾る門松は自分で作ろう」という話です。

「門松(かどまつ)とは、正月に家の門の前などに立てられる一対になった松や竹の正月飾りのこと。松飾りとも言う。古くは、木のこずえに神が宿ると考えられていたことから、門松は年神を家に迎え入れるための依り代という意味合いがある。」(ウィキペディアより)

日本人なら誰もが知っているだろうあの門松、
実はあれは誰が作っているのか?というのを僕はこれまで、あまり考えた事もなかった。
また、考えたとしても「植木屋さんか、それ専門の業者が作るんじゃないの…?」
くらいに思っていた筈だ。

その思い込みがガラガラガッシャンと覆されたのは
この地に引っ越してきて(いわゆる田舎暮らしを始めてから)はじめての年の瀬、
年末のご挨拶におとなりの農園を訪ねてみると、
となりのお父さん、竹を組み合わせたりして何かを作っていらっしゃる。
なんですか?これは?
こりゃ、門松だよ。正月だから門松を作っとるんじゃ。
え?門松って自分で作るんですか?
当たり前じゃ。自分ちに飾る門松は自分で作るんじゃ。

…みたいなやり取りが展開されて、ここで前述のガラガラガッシャンが僕の中で起こった訳だが、
言われてみればその通り、いわゆる「田舎暮らし」というのは、
実にこの「自分で使うものはなるべく自分で調達しよう」精神にあふれたライフスタイルなのであった。

さて、この話に妙に納得した私、
いつかは自分も門松を自作してみようと思い込んだ次第。

で、その機会が初めて訪れたのが3年前の年の瀬、
この家で初めての年越しを迎えることになり、
待ちに待った「初自作門松」に挑むこととなった。

早速ネットで検索してみると、先達たちが様々な「門松の作り方」を披露してくれている。
それらを参考に作ってみたのだが…、
いかんせんあまり制作時間が取れず、かなり「やっつけ」な門松になってしまった。
植木鉢を使用するアイデアと竹を組み合わせたまでは良かったが、
後は松の枝と千両もどきをめったやたらと差し込んだだけ…、
しかも、本来対であるべき門松が、シングルになってしまった。
だめじゃん、これでは、
年神様が、どこを通っていいか分からないじゃん、
という情けない結果に終わってしまったのだが、、、、
ま、これはこれで、とりあえず習作という事で、と
妙な満足感を味わったのだった。
3年前のやっつけな門松。竹も松も千両(もどき)も全部自宅に生えてるものを使った。


さてそれから季節はめぐって、二年後のこの年の瀬、
ついにリベンジの好機が訪れた。
ふたたび「自作門松プロジェクト」の始動である。

と、「今回はやりますよ!」と意気込んではみたものの、
今回もまた、年末進行の押せ押せ状態、実際の制作は大晦日当日という
かなりバチアタリな感じになってしまった。

「門松の設置は「松の内」に入る12月13日以降ならばいつでも良い。
 ただし、クリスマスは避けて設置される傾向にあり、他に12月29日に飾るのは「二重苦」、さらに9の末日でもあるので「苦待つ」に通じるとされ、「苦松」といって忌む。
 また12月31日に飾るのは「一夜飾り」「一日飾り」といって神をおろそかにするということから、それぞれ避けることとされている。」
(再びウィキペディアより)

ね。

ま、でも作らないより、作るに越したこたあない、
と、焦って制作にかかったのであった。

以下、制作の様子。
まずは何と言っても竹である。竹なら裏の山に唸るほど生えている。
逆に言えば、裏に竹林があるからこそ、門松を自作しようと考えたと言ってもいい。
で、適当なのをみつくろって…、と。

今回もベースには植木鉢を使うことにする。
本式には小さめのドラム缶や、つけもの桶など筒状のものを使って
周りにぐるりとコモを巻き付ける、というのがそれらしいんだろうけど…、
でも、あんまり本格的になりすぎてもねえー、、、て感じで。

 あらかじめ用意したその他の素材。
この時期、このあたりの直売所では正月飾り用に葉牡丹が必ず売っているので、
紅白一株づつを購入。
直径40センチの大きさで一個100円は安い!
あとは、庭に生えている南天なんかも引っこ抜いて準備。

竹を斜めに切る。 
切り口を綺麗に見せるために、サンダーをかけたりして…

高さを互い違いにした3本の竹を束ねる。
黒の麻紐とかで結わえると、雰囲気が出ます。
なんか、それっぽくなってきたよ。
で、これをもう一組用意。

鉢の中に入れてみて高さを決めたら…、
鉢に土を投入。
一昨年はこれをやらなかったので、雰囲気が出なかったのかも。

で、後は寄せ植えの要領で、松や千両の飾りをどんどん植えていきます。
うーん、いい感じ。
竹の背景には、最初オーソドックスに笹を植えてみたんだけど…、
これが、イマイチ面白くない。
で、そこで、ひらめいた!
ハランとかの方が面白いんじゃない?これなら庭にいっぱい生えてるし。
見た目もゴージャスなフラワーアレンジメントみたいな感じで…と、
プスプス挿していく。

もう、ここまでくれば仕上がりは近し。

という訳で出来上がりました。
こちらが向かって右の門松。

こちらが左。

 そして、無事に大晦日の夜を迎えました。

こうして、今回もいろいろ反省点は残るものの、
とりあえず一組の自作門松が出来上がり、
その間を通ってお越しいただいた年神様とともに、
我が家のお正月は滞り無く、そしてうつらうつらと過ぎていったのだった。

いやあー、しかし面白いもんですね。
まさか自分の人生の中で、門松を自分で作るということが起こるなんて、
考えたこともなかった…。
「門松は冥途の旅の一里塚めでたくもありめでたくもなし」
あらためて本年もよろしくお願いいたします。

2015/01/01

2015年 明けましておめでとうございます


年末、何度かに分けて花の絵を描く過程をアップしてきましたが、
その絵もついに完成!

こんなんなりました。

それではあらためまして、皆様明けましておめでとうございます。
本年も何卒よろしくお願いいたします。

オマケ。
制作途中でいろいろと試行錯誤しましたが、別バージョンでこんなのも出来ました。
先のが「昼バージョン」だとすると、さしずめ「夜バージョン」です。



2014/12/31

年末に花の絵を描く話 2

年末に花の絵を描くお話…、その続きです。


やはり赤だ。
紅い芍薬。
タイトルは「赤芍」、英語で「Red Peony」で。

日本画風にここで寸止めという選択もあるのだけれど、今回はも少しクドく行くことにする。
なぜならば、一番最初に閃いたラフのイメージを大切にしたいから…って、説明になってないな…


赤にこだわり過ぎて、ダークなイメージになってきたぞ。
ちょっと演歌な世界すぎるか?
これでいいのか?

ちなみに「Red Peony」で検索をかけると、
なつかしの任侠映画「緋牡丹博徒」がひっかかってきてビックリ。
Red Peonyって緋牡丹なの?

なるほど、英文Peonyは、牡丹、芍薬ひっくるめた名称とのこと。
芍薬の英訳、正確にはChinese Peonyであるらしい。
藤純子が片肌ぬいで「人呼んで緋牡丹お竜と発します」の世界観には、このダーク感、ぴったりなんだけれどな……

再び、これでいいのか?大丈夫か?
と自問する。


そして背景色、変更。

そ、そ、この感じ。
光がぽーんと立って…なかなかいい感じ。
それに合わせて、花びらの細部を描き込んでいく。

だんだんゴールが見えてきましたよ。

     ………て感じで来年も、よろしくお願いいたします。

2014/12/26

年末に花の絵を描く話

今年ももうすぐ終わり。

毎年12月に入ると新作の絵を一点描き始める。
出来上がった絵を使って来たる年のイラテック年賀状にするのが、
ここ10年来の恒例行事となっている。

さて今回は、去年あたりから描いては直しを繰り返して、
いまだ完成に至っていなかった花の絵をちゃんと完成させて、
その任に当たらせようと目論んでみた。


始まりはこんな感じ。
こんな感じの絵が描きたいとラフを描きなぐった。

ううーん、これじゃなんだか分かりませんね……。


ラフを幾つか起こしているうちに、芍薬を描いてみようという気になっていく。

立てばシャクヤクの芍薬。

春に牡丹園で撮った写真などを見ながら、下絵をおこしていく。
だんだん花みたいに見えてきたよ。


ラフの絵から本番の線画をおこしていく。

ぱっと見にはラフと変わらないかもしれないけど、本番ですコレ。

その花の真ん中から力強さが溢れてくるような…
そんな芍薬の花が描ければ… と。


彩色。
バージョン1。

うーん、ちょっと大人しいかなあ。

             ……つづく。

2014/12/20

YTロゴ


Yla-TechのFacebookページのヘッダ画像のために
新たなロゴデザインをおこしてみました。

うーん、どっかで見た気がする?

気のせいじゃないかな。

Yla-Tech Facebook

2014/11/30

本日の Wabi Sabi

「百日紅」と書いて「さるすべり」はその名の通り、
8月から10月にかけて、百日もの長い間、綺麗な紅の花を咲かせる。
ちなみにその幹は樹皮が剥がれたような滑らかな表面で、
猿が登ろうとしてもツルツルでスベっちゃうでしょ…
で、こちらもその名の通り、さるすべり。

花のつきは今年イマイチだったものの、
一応夏から秋にかけて、にぎやかに庭を彩ってくれたうちのさるすべり。
本日庭の手入れのついでに、ちょっと早いが剪定した。

花が終わったさるすべりの枝は、割りと強めに剪定するのがコツ。
思い切って枝の根元からチョッキンちょっきん切ると、
翌春にはそこからまた強い枝が伸びてくる。
力強い循環。

さて、切り取った枝を眺めてみると、
なかなかに良い造形なので…

こんな感じで飾ってみました。




本日の Wabi Sabiでした。

2014/11/22

Bali Temple Explorer

このところ、制作をしている新作マンガの資料として、
バリ島の写真集や、関連サイトを漁ることが多いんだけれど
そんな時いつも、ついつい見てしまうのがこのサイト。

森の奥に静かに佇むバリ寺院をバーチャル観光できるサイトです。

一時期、こんな感じの「マルチメディア」的、「インタラクティブ」的(共にIT死語ですかあ?)なアプローチのウェブサイトっていくつか見かけたが、このサイトはなかなか秀逸な出来。

画像の美しさ、音楽や自然音の心地よさ、それに何よりの空気感…、
そのどれをもが素晴らしく、つい時間を忘れてうっとりと眺めてしまいます。

バリ好きの方で、ご覧になったことのない方はゼヒ。
かなり、行った気になりますよ。



2014/11/11

「忌野清志郎展」@宝塚手塚治虫記念館

宝塚手塚治虫記念館で開催されている「忌野清志郎展」に行ってきました。

手塚治虫記念館で、清志郎さん展。
なんだかとても感慨深いものがあります…。

昔、RCサクセションのマンガを描かせてもらったご縁で、
若い頃ちょっとだけ、清志郎さんに遊んでもらった時期があります。
家に遊びに来てもらって絵を見てもらったり、焼き肉をご馳走になったり…、
なんのハズミでかライブ演奏に一緒に混ぜてもらった事もありました。
それらは僕の中で宝物のような思い出となっています。
清志郎さんはほんとにマンガが好きで、
だからガロでデビューしたというだけで、僕のことも面白がってくれていたようでした。

そして、それ以後僕は長い間、手塚治虫の仕事に関わることになります。
そんなこんなで、この展覧会は実に感慨深いモノなのでした。


久しぶりに宝塚花のみちを歩き、大劇場を過ぎて、記念館に入ります。

記念館を訪れるのは、たしか我がイラテックが手がけさせていただいた館内手塚治虫データベース検索機「手塚治虫モビール」のリニューアル公開時以来だから、10年ぶりくらいになります。

記念館に関しては、今年も4月に、Googleが歴史的な写真や文書を紹介する「Google歴史アーカイブ」に於いて「手塚治虫記念館」編を制作したりしたので、そんなに久しぶりって感じはしないのですが、リアルに行くのはやはり10年ぶり…、なんかかなり、懐かしい感じです。


さて、企画展「忌野清志郎展」会場に入ると、
会場内から「スローバラード」が聴こえてきて、もうすでに胸にぐっと迫るものがあります。
懐かしいRCのレコードジャケットの数々の間を抜けると、いつもの企画展のメインステージ、「ガラスの地球」の真下のホールには、清志郎さんのハデハデ〜なステージ衣装が展示してあって、その上のモニターでは武道館でのライブ映像が流されています。
聴こえてきたのはこの音楽だったんですね。
曲はやがて「雨上がりの夜空に」に変わります。
くーーーーっ。

それを聴きつつ次のコーナーに移ると、そこには清志郎さんの数々の絵画やマンガが展示してあります。
特に、2006年に描かれた、闘病中の自画像に激しく胸を打たれました。
こってり油で塗られたその自画像は、何て言うか、とても、強い…絵でした。

会場を出ようとする僕の後ろから、「イエーイって言えーい」という清志郎さんの声が聞こえてきました。
イエーイ! いいものを見せてもらいました。

「忌野清志郎展 〜手塚治虫ユーモアの遺伝子〜」は来年2月20日まで開催されています。