2016/01/01

謹賀新年2016


2016年です。
あけましておめでとうございます。

イラテック本年の賀状は百合の絵。
以前描いた百合の絵を、夜バージョンに描き直してみました。
月明かりの下、何を聴くのか百合の花。

それでは、
本年が皆様にとって
素晴らしき年になりますように。

本年もよろしくお願いいたします。


2015/12/21

大根のはりはり漬け


大根を切り、大根を干す。
数日干すと冬の寒さがひしひしと大根から水分を奪い
やがて干からびて、
大根は別物に生まれ変わる。

大根はヨシオさんの畑で採れたものだ。

ある日
玄関先に採れたてのものが置いてあった。
直接、礼を言おうとしても
恥ずかしがり屋のヨシオさんは
いつもピューと逃げていく。
そして、知らない間に、玄関先にまた採れたての野菜を置いていく。
感謝。


大根を切り、大根を干す。
冬の寒さがひしひしと大根から水分を奪い
やがて干からびて、
大根は別物に生まれ変わる。

ハリハリ漬けの出来上がり。

今年は暖冬とのことだが
それでもやがて本格的に訪れる冬の寒さにも感謝。

Photo and Cook by Satoko Okudaira



2015/12/19

杉本博司の床




この前、蝉が鳴いていたと思ったらもう師走の大詰めだ。
時間が過ぎるのが早くて嫌になってしまうよ、ほんとに。

このところは、
手塚眞監督の新作映画関連の仕事をやらせてもらっていてやや忙しく、
その上、あれやこれやとやらなければならない野暮用も山積みで
まさしく師走の慌ただしさだ。

さて、そんな中ではあるが、これだけは見逃す訳にはいかないと、
閉会間近の杉本博司展『趣味と芸術―味占郷 / 今昔三部作』に
なんとか出かけて行くことができた。

久しぶりの千葉美術館。

会場に入るとまずはドーンと「海景」に取り囲まれる(冒頭の写真)。
鉛の額に納められた大判プリントが作り出す重厚な空間は まさに静謐そのもの。
あっという間に、師走の慌ただしさが頭の中からスポーンと抜けていった。

そして「劇場」「ジオラマ」の大作品展示が続く。
いずれも、数十年かけて撮り続けられている氏の代表作とも言えるシリーズ作品で
そのシリーズ最初の作品と、最新作が含まれる所謂「今昔三部作」。
なかでもジオラマ新作の「オリンピック雨林」が、でかくてすごい。
確かに写真の中では偽物のジオラマが本物以上に本物に見える。


階を降りると本展覧会の目玉「趣味と芸術―味占郷」だ。
(千葉美は7階8階に分かれている)

これは、杉本博司が架空の料亭の亭主に扮し、
様々なゲストを、床の間のしつらえと料理でもてなすという、
婦人画報誌に連載された企画「謎の割烹、味占郷」を再現したもの。
そこで考案された床のしつらえや、 料理を供するのに使われた器などが展示されている。

で、これが素晴らしいのひとこと…
こんな感じです。

お盆の中にちっちゃなお釈迦様が

こちらは西洋骨董のキリスト像。軸は建築家、堀口捨己の短歌

かつては古美術商を営んでいたという目利きの杉本博司ならではのコレクション、
軸や置物、自らの作品などが織りなす(料理を含め)絶妙の組み合わせや、
はたまた斬新な組み合わせの数々…。
それらを支配する圧倒的な美意識にうっとりするやら、
はたまたそこかしこに見え隠れするユーモアに、にんまりするやらで
まるで夢を見ているかのようなひと時を過ごした。

一番右の軸は女性の背中の解剖図ですね。

なお、展覧会では
生花を使えず、ということで花は須田悦弘の木彫作品が使われている。
不勉強ゆえ、この作家のことを知らなかったのだが、
本物と見紛うばかりの草や花を木彫で作り出し、
一風変わった展示の仕方で見せる現代美術作家とのこと。
で、この繊細な細工を施された草花が本当に美しい。
そして、前述の杉本博司が作り出したしつらえの中に、
ぴったりと収まり、えもいわれぬ趣きを見せていた。


これは、本展覧会のためのしつらえか、銅の大升に、泰山木の花(木彫)

ところでこの展覧会、写真撮影OKということで、
しずーかで、おごそーかで、うすぐーらい美の空間に、
シャカー、かしゃ、シャカー、シャカー、カシャと
観客たちのスマホのシャッター音があちこちで鳴り続けるというのも
なんだか、とても不思議な光景だった。
ひょっとしたら、これも計算されたアートかしら?

ま、いずれにしても、贅沢で夢見心地なひと時はあっという間に過ぎ
気がつけば、閉館間近になっていたのだった。

脳みそフワフワ状態のまま、美術館を後に一歩外に出る。
そこにはクリスマスソングが鳴り響く街と、師走の慌ただしさが待っていた。
さ、早く帰らなきゃ。


杉本博司『趣味と芸術―味占郷 / 今昔三部作』は12月23日までの開催です。)


Photo  by Satoko Okudaira


2015/10/14

マライア「うたかたの日々」再発!


1983年に発表されたマライアの傑作アルバム「うたかたの日々」が、NYのレコードレーベル「Palto Flats」から世界に向けて再発されました。
なんとうれしい事に、45回転12インチアナログ盤2枚組という、32年前に発売された形式そのままでの再発です。
で、当時僕が手がけたアートワークもそのままに再現されてるらしい!

清水靖晃氏から届いたプレスリリースによると以下のようになっています。

ーーーーーーーーー
清水靖晃を中心に結成された実験的ロックバンド 、マライアが1983年にリリースしたアルバム『うたかたの日々』。
幾度となく再発され続ける程、傑作と推すファンも多いこの1枚が今回、ニューヨークのレーベルPalto Flatsから全世界に向けリイシューされます(日本国外向け)。
今作の再発盤では、オリジナルの発売当時と同じくLP/12インチ 45回転 2枚組で完全復刻。
更には、ドイツのDubplates and Masteringにてリマスターが施されたほか、ジャケットイラストを手掛けた、デザイナー、奥平イラ氏の(当時書き溜めていた作品の中からの)アディショナル・イラストも追加された特別仕様になっています。
音楽ウェブマガジン Resident Advisor のニュース記事も合わせてご覧下さい。
ーーーーーーーーー

そう、その通り、
そのままに再現だけではなくオマケで、当時描いていた未発表イラストレーションも新たに加えました。

しかーし、9月18日に発売されたこのレコード、現在の所、僕の手元にはまだ届いておらず、イラストがどのように使われているか、ちょっと分かりません。
うーん、どんなんなっているのかなあ…、楽しみだなあ…。

ちなみにGoogleでマライア「うたかたの日々」の画像検索かけてみたら、こんな感じでした。
…なんだか壮観。




2015/10/06

R.I.P. 長野さん

フライ・コミュニケーションズの長野さん(南風椎さん)が亡くなった。
9月9日のことだという。

長野さんが東京を離れられて以来、十数年はお会いすることが出来なかったが、フェイスブックのおかげでここ数年はまた連絡がとれるようになり、季節のご挨拶や、近況の報告をしていた。
書き込みで、ご病気にかかられたのは知っていたのだが、陰ながら快復を祈るのみだった。
そして今、突然の訃報に驚いている。


長野さんには昔、本当にお世話になった。

長野さんの手がけられた展覧会や、出版物には、いろいろと参加させていただいた。

アート作品をファイルして限定150部だけ刊行される「ART WORKS」
神をテーマにアーチストそれぞれのオリジナル本を作る「神展」(新宿東長寺)
廃棄物やゴミをアート作品に再生する「ヴァクテリアート展」(ギンザ・グラフィック・ギャラリー)
死者に捧げるオリジナル本を作る「R.I.P.展」(ギンザ・グラフィック・ギャラリー)
等など…


一番思い出に残っているのは1993年にマガジンハウスから発売されたCD-ROM作品「CATALOGUE OF NEW YORK CITY」だ。

長野さんが企画、構成したこの作品は、ニューヨークに暮らす様々な人々のライフスタイルを紹介するマルチメディア作品で、僕はこれのアート・ディレクションや、CGイラストレーション制作を担当させていただいた。
当時、こういったインタラクティブ・メディア、マルチメディア作品はまだまだ黎明期で、その制作は僕にとっても、また長野さんにとっても、ほぼ初めての経験だった。
よって作業は慣れない事も多く、なかなか大変だった。
何度も何度も打ち合わせを繰り返し、出来上がったものをまた何度もやり直しした。
だから時間はかかったけれど、出来上がった時の喜びはひとしおだった。

その当時、僕は恵比寿に住んでいて、南青山の長野さんのオフィスには割合と近く、打ち合わせにはいつも自転車で六本木通りを越えて通っていたのをよく覚えている。
打ち合わせの後オフィスで、また近くのバーに連れて行ってもらって飲んだりしたのも、良い思い出になっている。


長野さん、お世話になりました。
本当にありがとうございました。
本当は直接、感謝の気持ちを伝えられればよかったのですが、チャンスを失ってしまいました。残念です。
安らかにお休みください。


「ART WORKS」に入れさせてもらったシルクスクリーン作品(86年くらいかな?)。
長野さんにも気に入っていただけたようで、その後出版されたグリーティングブックにも掲載していただいた。



2015/10/03

「星くずサロン」おしゃれな夜

さて、一昨日おこなわれた「星くずサロン」の二回目はこんな感じ。


まず登場したのは「POiSON GiRL FRiEND avec 加藤みちあき+大津真」のユニット。
ちょっと気だるくデカダンなフレンチテイストな楽曲の数々。

「POiSON GiRL FRiEND」イコール ボーカルのnOrikOさんの別名義との事だけど、90年代には彼女の参加したアンビエント・ハウスな「Angelic House」、フレンチ・ダンス・ミュージックな「Kiss-O-Matic」をよく聴いていたのを後になって気がついた。
なるほど、居心地のよかった筈です。

ちなみにサポートの大津くん(写真左)とは、昔お仕事をご一緒した仲で、実に久しぶりの再会。
この前会ったのはいつだっけ?えー!?もう15年以上も経つのおー?と、なった次第。


さて、ライブにもどります。
前回同様、ナツカシの「星くず兄弟の伝説」の映像も流しーの…


手塚眞監督、エッセイストの犬山紙子さん、映画作家のTORICOさんによる今回のテーマ「おしゃれ」についてのトークコーナーがあって…


そして本日のトリ「野宮真貴+鈴木智文with金津ヒロシ」が登場。
ご存知「東京は夜の七時」などを、しっとりとした感じで演奏した。


ちなみに野宮真貴ちゃんと鈴木智文くんがかつて在籍した「ポータブル・ロック」、このデビュー・アルバムのジャケットは私がやらせてもらっていて、えー!?それってもう30年も前になるのおー?となった次第。
(なんか星くず関係は、こーゆうのが多いなあ)
ライブのシメは、先月シンゴとカンがシャウトしまくっていた「星くず兄弟のテーマ」を、これまたしっとりボッサな感じでカヴァーして、うーん、実に大人な感じ。
まさしくタイトル通り、おしゃれな夜でした。

「星くずサロン」次回は12月1日です。
(ライブ写真は奥平サトコでした)





2015/10/01

星くずサロンVol.2

本日、「星くずサロン」の第二回目。

「星くずサロン」というのは、手塚眞監督による来年公開予定の新作映画「星くず兄弟の新たな伝説」を盛り上げようと、定期的に開催されているライブ・イベント。

「星くずオシャレ大全」と題された今回の出演は、トークに犬山紙子×TORICO×手塚眞、
ライブには「野宮真貴+鈴木智文with金津ヒロシ」「POiSON GiRL FRiEND avec 加藤みちあき+大津真」というオシャレな面々になっています。

詳しくはこちら > 「星くずサロン」


ちなみにお茶目なシーラカンスの「星くずサロン」ロゴマーク、
イラストは(シーラカンスと言えばもちろんこの人)内田春菊さん、デザインは私が担当しました。


あと、このイベントを含め、映画「星くず兄弟の新たな伝説」の盛り上げプロジェクト「星くずプロジェクト」のロゴマークはこんな感じになっとります。
ポップでブキミ…。(こちらはイラストも私)


2015/08/18

「手塚治虫と戦争」公開後


70年目をむかえた終戦記念日の前日、8月14日に
WEBコンテンツ「手塚治虫と戦争」を公開することができました。
ここ数ヶ月はこの制作にガッツリと取り組んでいたため、
やっと一息ついて遅ればせながらの夏休みをとっているところです。

公開直後にツイッターで公開の旨つぶやいた所、
思いのほか反響があり、数多くのリツイートもしてもらい驚いています。
リツイートによせられる言葉も
「労作」「力作」「必見」というありがたい言葉が多く、
こういう言葉をきくと「ああ、頑張ってやって良かったな」という思いがひしひしと湧いてきます。
皆様、本当にありがとうございます。

  ●まだご覧になっていない方はゼヒ!>「手塚治虫と戦争」


今回の企画の意図は、戦争に関する手塚治虫の体験、作品、メッセージを、
こちらで用意した演出で見せるのではなく、
なるべく「ナマ」のまま伝えよう、という事でした。
必要最小限のマンガ作品に付ける解説文の他は、
全て手塚治虫自身の言葉と手塚治虫が生み出した作品で構成しています。
体験やメッセージに付けた画像も、そのリアルな息遣いを感じてもらうために
紙の汚れや、修正の跡も生々しい原画をスキャンしたものを使いました。

そのかわりといっては変ですが、サイト全体のデザインは
SNSのタイムラインやWEBメディアを思わせる、ユーザにとって直感的に分かりやすい
今日的なWEBデザインを踏襲したものにしました。
そのままではあまりにも、生真面目で重苦しくなりがちな内容を、
明るくシンプルなデザインでサラッと読めるように、、、。
考えてみれば、手塚治虫作品にもよくこういう手法が使われています。
ストーリーがおもーく、息苦しくなってくると、
いきなり無意味なナンセンスなギャグが挟まれ(代表的なのはヒョータンツギ!)、
読者の緊張を緩和するみたいな感じ。
これもある意味、手塚作品の醍醐味ですよね。

それにしても、今回も制作でご一緒した黒沢哲哉氏の「手塚治虫愛」には、改めて驚かされました。
膨大な手塚作品の中から戦争に関するものを選び出し、解説文をつけていただきました。
それだけではなくエッセイ集、講演集、手塚治虫の日記から、この企画に合致したテキスト、
つまり「手塚治虫の言葉」を選び出すという、この企画の「キモ」も担当していただきました。
さすが、、、としか言いようがありません。



さて、おととい16日、盆の送り火という事で
地元、一宮で「燈籠流し」が行われました。
この「燈籠流し」は観光客がどっと押し寄せる盛大なお祭りというほどでもなく、
地元の人達が集まるささやかな催し物といった感じなのですが
その規模感がちょうど良くて、我々も毎年参加させてもらっています。

いつもなら燈籠にイラテック「商売繁盛」「家内安全」といった、
かなりエゴイスティック(笑)な祈願をしたため川に流すのですが、
戦争の事を考え続けた半年を経て、今年は素直な気持ちで、
この祈願を付け加えました。

燈籠はゆっくりと川面を流れて行きました。 Peace




2015/07/22

最上階のレタス


田舎に引っ越してきてからイラテック2号サトコは、庭の片隅を菜園にして野菜を育てています。

野菜を育てるというのは案外手間がかかったりして、自然の野菜が安くで手に入るこの地では、ひょっとしたら買った方が安いんじゃね的な見方もあるのですが、それでも自分ちの庭先でたった今採れたものを食すというのは、得もいわれぬ幸福感があるものです。

そしてかたや、こういうものがあります。
銀座の、日本で一番高い土地であろう一等地に立つビルの最上階で、人工飼育されているレタスたち。

テクノ出身の僕は、これも決して嫌いではありません。
あっちの端とこっちの端。

そんなものが存在しているのが今という時代だと、あらためて思います。


(追記)
なんとなくイメージで、最上階と書いてしまいましたが、ほんとはマチガイ。
銀座伊東屋さんの11階にこのFARMはあります。
そのもう1つ上にはカフェもあって、そちらが最上階でした。
ここで穫れた野菜は上のカフェで食べられるそうです。銀座の地産地消…。


2015/07/20

蓮朝


突然梅雨が明けたと思ったら、いきなりの猛烈な夏がやってきた。
忙しさにかまけて放ったらかしにしていた庭の手入れを、二日間に渡りフラフラになりながらやる。
文字通りフラフラになる。
体重が2キロばかり減る。

この季節はまた蓮の季節でもある。
近くには綺麗な蓮を見ることが出来る場所がいくつかある。
ここ数日中には、きっと見事に咲いているであろう大蓮を見に行こうと思っている。

ところで不思議な事に、自然の蓮池というのは、ある種の不連続性を持っているらしい。
去年まではびっしり見事に咲きほころんでいた蓮池が、今年は蓮自体まったく見当たらないという現象が生じる。
こっちに引っ越してきて最初の夏、近所に見事な蓮池を発見した。
同じく見に来ていたおじさんに話を聞くと「去年までは蓮なんて一本もなかったのになあ…」と言う。
そんなあ、からかって、、、とその時は思っていたのだが、数年間あたりの蓮池を観察していると、どうやらそういう事も有る話らしい。

知っている人にとっては当たり前のことかもしれないけど、からっぽの水面を見つめながら、ひょっとしたら去年の見事な蓮はすべて夢だったのもしれない、、、なんて思いにふけってしまうのも、なんだかちょっと不思議なものだ。


さて、この絵は「蓮朝」
数年前に描いた朝靄の中、瑞々しく佇む蓮の絵。

日が登るとともに蝉たちがいっせいに鳴き始める。
今日も暑くなりそうです。